キング~神奈川県庁本庁舎~
神奈川県の重要な拠点、県庁本庁舎。県庁に相応しい重厚感のある建物が昭和初期に建てられた「キングの塔」だ。シンメトリーな重厚感ある洋風建築の中にも日本趣味が見える和洋折衷の帝冠様式が特徴。また、細部には幾何学的な装飾模様が随所に用いられ、巨匠フランク・ロイド・ライトの影響によるライト様式や、直線で構成されるアールデコ風の装飾が見て取れ、建築史的にも趣深い建物のひとつと言えるだろう。日没から22時までの間にはライトアップが美しい。
クイーン~横浜税関~
白くスマートで、青緑色のドームを持つ高い塔が「クイーン」、横浜税関だ。イスラム寺院風のエキゾチックな雰囲気を持つこの建物は、海外からの輸出入を管理・取り締まる税関として機能している。完成当時は横浜で最も高い建物であったクイーンは、昨今の都市開発で高いビル群が立ち並ぶ今日に於いても独特の存在感を誇っている。
ジャック~横浜市開港記念会館~
ジャックの塔は他の2つの塔と比べると、遠方からでは塔を小さく思うものの、間近で見ると、思わずカメラのシャッターを切ってしまう筈。横浜市民からの寄付を募り建設されたこの記念建造物は東南隅に時計塔、西南隅に八角ドーム、西北隅に角ドームを配した設計で、時計台をモチーフに赤レンガ建築を踏襲して造られており、高さ36メートルの時計塔には当時のレンガ造りの技術力の高さを見ることができる。
3つの塔を見られるポイント
この3つの塔を一度に見られるスポットは限られており、全て巡ると願い事が叶う「横浜三塔物語」は有名な伝説。この3塔はいずれも先の第二次世界大戦をくぐり抜けて現存しており、いつしか船員たちが航海の安全を祈りこれを目印に入港したと言われており、「赤レンガパーク」「日本大通り」「大さん橋」の該当箇所3箇所をめぐることで、様々な角度から横浜3塔を楽しめる。その存在感に願い事を託す人々が、今日も横浜をめぐることだろう。
横浜三塔・年表
1917年 | 横浜市開港記念会館(ジャック)竣工 |
1923年 | 関東大震災にて各庁舎(キング・クイーン)が消失 |
1927年 | 神奈川県庁舎(キング)竣工 |
1934年 | 横浜税関(クイーン)竣工 |